図書館本、読了。
著者は高木彬光の長女で、その想い出を書いたエッセイ集。父親ゆずりの文才か、単独に読んでも面白い内容になっている。
私は「刺青殺人事件」「ジンギスカンの秘密」「邪馬台国の秘密」くらいしか読んでない読者だが・・。しかし、ミステリ自身を読むよりも、「ミステリ作家についての本」を読むほうが好きな自分なので、非常にツボにはまる本で、楽しく一気に読んだ。
前半は江戸川乱歩、横溝正史、山田風太郎、天城一、柳原緑風ら、高木と交流のあった作家たちの、意外な交流や思い出などが書かれている。
後半は、「高木家の歴史についてのエッセイ」で、「ミステリ界一の奇人」の高木らしく、占いに凝って引越しを繰り返したり、相場や鉱山掘りに熱中したりといった、エキセントリックな性格が描写されている。
だが、なかでも、胸をうたれるのが、著書の父母が順次、「動脈硬化症により右足を切断」して車椅子生活となり、介護をしながらそれぞれの死を看取る末尾の部分だ。
自分もそういうのが、そろそろリアルなトシなのでねえ・・。