杉山幸丸「崖っぷち弱小大学物語」(中公新書ラクレ)

面白い!。
元霊長類研の所長・杉山幸丸師が、定年退官後に名古屋の「崖っぷち弱小大学」の社会科学部長として迎えらた。「老後の一仕事、研究の合間に可能かな」くらいの意識でやってきた彼が直面したのは、「しつけや基本的なコミュニケーション能力持っていない/実社会ですぐ役立つノウハウのみを求める学生たち」「利益のみ要求する経営者」「専門分化に立てこもる教員たち」。

そこで杉山師は、今までの学門的成功者としての意識をカナグリ捨て、愚直に「現代の学生のための教育」を試行していく。世界的サル学者が、居眠りしたり化粧したりしてる学生たち相手に、大人数の一般教養講義やってんですよ。勿体ないような・・。

その、一種の滑稽美ただよう体験談は、現在、大学教育などと無縁のこちらにも、勇気を呼ぶ。