杉原たく哉「天狗はどこから来たか」(大修館書店 asin:446923303X)

図書館本、読了。中国美術の研究家の、図像学による「日本天狗」の源流についての考察。


中国では古来、「天狗」とは「流星は隕石が、空中で爆発したり、地上に激突した時の、異常な大音声」を示す、妖怪現象で。姿は犬のような四足獣のような形をしているとされたという。(天狗=天の狗(いぬ))


だが、仏教が中国に伝来し、仏典を中国語に翻訳する際、「空を飛ぶ夜叉の類」にも「天狗」という名前をつけてしまった。
その「天狗」イメージが、主に天台宗を通じて、日本文化に流入。その際、中国の雷神などの「半鳥半人」イメージをひきずり。
また「天を飛び、悪さをするモノ」というイメージから、鳶や鷲鷹などの猛禽類と人間の合体動物として、「日本天狗」はイメージされた。(つまり、烏天狗が日本天狗の元祖)


では、鼻の長い「天狗」はどうして生まれてきたのか。それは、烏天狗の上クチバシを、鼻のようにとらえて描く画像が増え、「天狗は人間に化ける時は鼻が長い」→「天狗は鼻が長い」という風に連想が進んだためだという。なるほどねえ。