キングズレー・エイミスの息子、J・G・バラードに会う

SF論「地獄の新地図」で有名なキングズレー・エイミスの息子の、マーティン・エイミスも作家になっていて。(ジュリアン・バーンズとかと、同世代で友達みたいだ)
彼の「ナボコフ夫人を訪ねて 現代英米文化の旅」という本を読んでいると、1984年、「太陽の帝国」を書いたばかりのバラードを尋ねた記があった。


バラードは「太陽の帝国」の主人公の少年ジムと、実際の自分の体験との違いなどを答えていて、なかなか面白い文章。
当時の上海は、実際はもっと残酷な街で、中国人の死人は、ワサワサいた町だったそうですが、そのへんはかなりソフトに書いているそう。


ところで、昔は、SFに興味がない翻訳家が、「SF作家についての文章を訳す」と、出てくる本がすでに翻訳があっても、現題のままに訳してあって・・・。「ちょっと調べればわかるだろ、まったく」とSFファンは怒ったものだが・・。
この本は、なんと2000年の刊行なのに、いまだにその癖があって(しかもバラードほど重要な作家なのに、訳者は何考えているんだか・・)。


『狂風世界』が、「何処から吹くのでもない風」と原題で記述。
『沈んだ世界』が「水没した世界」。
『ハイ・ライズ』が「高層建築」。
『夢幻会社』が「無限夢会社」などと・・。


他にアシモフへのインタビューがあったりするんだが、そちらはなぜか、正確な邦訳題名を書いてあって・・・。訳者が2名いるので、そのせいか。
でも、なかなか面白い本だ。