1-01-01から1年間の記事一覧
「日本SF・幼年期の終り」に収録。
人類絶滅の物語は、SFでもいちぱん人気のある分野の一つだ。なぜこのテーマがあきもせず書かれ、そして読まれるのだろう? 極限状況をどう書くかが、作家の意欲をそそるからか。文明批判、人類再認識の格好の素材であるからか。また、それが読者にとって新…
竹田宏(たけだ・ひろし) 昭和十五年東京に生まれる。 昭和四十ニ年早稲田大学仏文科卒。 大正大学講師/大東文化大学講師 主訳書 ガブリエル・マルセル「演劇の時間」(春秋社刊) ガブリエル・マルセル「こわれた世界」(白水社刊) ジャン・ラシーヌ「エ…
SFマガジンが創刊したころ、といえぱ今から十一年も前のことである。近所の本屋の手ちがいで、創刊号がニ冊配達されてしまったことがある。返却できない事情があって、仕方なく一冊を保存用に置いておき、もう一冊を徹底的に読み古してから大森駅近くの古…
「日本SF・幼年期の終り」に収録。
「日本SF・幼年期の終り」に収録。
飯田規和(いいだ・きわ) 昭和三年山梨県に生まれる。 昭和三十年東京外語大学ロシア語科卒。。 ソビエト文学研究家。 主訳書 スタニスラフ・レム「ソラリスの陽のもとに」(早川書房刊) H・E・コプリンスキー「電子頭脳の時代」(理論社刊) ユリアン・…
――SFの古典というと、どういうわけか島ユートピアの話と月世界旅行がほとんどだね。月は近そうなので、月世界旅行なら実現可能と昔から思われてたせいかな。 ――いや、月は死者の国と考えられていたから、月世界旅行は冥府降下神話の変形だろうね。ホメロス…
ソビエトSFとぼくの出あいは、イワン・エフレーモフの「アンドロメダ時代」と、ロソホパッツキーの「砂漠の再会」でした。それ以前にも、いくつかの短編には、お目にかかっているわけですが、あまり記憶には残っていません。というよりむしろ、欠点のほう…
いま思いかえしてみると、私は子供のころからSF的なものが好きだったらしい。外国の童話の類には、空想の翼をひろげ、SFの領域に及ぼうとしているものが多いが、日本の作品はあまり好まず、そっちばかり読んでいたせいであろう。たとえば、「アラビアン…
飯田規和(いいだ・きわ) 昭和三年山梨に生まれる。 昭和三十年東京外語大学ロンア語科卒。 ソビエト文学研究者。 主訳書 ホセ・ソレソ・プイグ『デルチリオン一六六』(新日本出版社刊) H・E・コプリンスー『電子頭脳の時代』(理論社刊) ユリアン・セ…
ソヴィエトSFの新しい世代が、若い作家たちの抬頭ではじまるのは、一九五六年から七年にかけてである。世界の最先端を行く英米SFの紹介は、六〇年代にはいってから始まり、まずレイ・ブラッドベリが、『資本主義的現実を否定し、マッカーシズムに抵抗す…
若気のいたりで文学を志してから、今年でちょうど二十年になる。しかし、そのうちの半分ちかくは「文学」というものから、はるかに遠く、遠ざかるために費されたようなものだった。最初の絶望は、大学の文学部で、いったい文学とは何であるのか、少しもおし…
「日本SF・幼年期の終り」に収録。
飯田規和(いいだ・きわ) 昭和三年山梨県に生まれる。 昭和三十年東京外語大学ロシア語科卒。 ソヴィエト文学研究家。 主訳書 スタニスワフ・レム『ソラリスの陽のもとに』(早川書房刊) R・E・コブリンスキ『電子頭脳の時代』(理論社刊) ユリアン・セ…
深夜、テレピ局のビルの屋上にかかった月を見た。胸をつかれて、思わず立ち止った。それは、アポロ宇宙船が月に到達し宇宙飛行士たちがはしめて月面の塵の中に足跡をしるした日、特別報道番組のためにテレビ局からテレビ局へとたらいまわしされていたときの…
「日本SF・幼年期の終り」に収録。
銀河航路のはずれに『緑の峠』という名で知られる小さい惑星がある。暗黒太陽系の『黒チタン』という惑星で傷ついた二人の宇宙飛行士がこの『緑の峠』に途中下車する。人工空気、人工庭園−−宇宙の休息所である。いくら小さい惑星でも、観測所長ひとりだけで…